少子高齢化が進む日本では、2050年には全国の居住地域の約半数で人口が減少することが予測されています。
人口減少によって中小店舗の廃業や学校、病院の統廃合が進めば、買い物や通学、通院などの日常生活における「移動」が困難になってしまうかもしれません。
また、高齢ドライバーの自動車免許の返納が進んでいる反面、地域によっては返納後の移動手段が十分に確保されていないことも課題となっています。*10
このような状況を解決するため、国土交通省では地域公共交通の「リ・デザイン(再構築)」を掲げています。
そして、地域公共交通の「リ・デザイン」の柱の一つである交通DXでは、地域づくりの一環として自動運転バスサービスの実証事業を支援しています。*10
広島県東広島市では、まちづくりと一体となった交通ネットワークを構築するため、持続可能なモビリティサービスの導入を推進しています。
そのひとつが、自動運転・隊列走行BRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)で、バス専用レーンを設置することで公道での早期導入を目指しています。(図8)*11

図8:自動運転・隊列走行BRT導入のイメージ図
出所)JR西日本「次世代モビリティ「自動運転・隊列走行BRT※」」
https://www.westjr.co.jp/company/action/region/list/2024062801.html
東広島市では、2023年度からJR西条駅と広島大学東広島キャンパスを結ぶルートでBRTの実証実験をおこなっています。
この実証では、2つ以上の車体で構成される連節バスと大型バスが、車両間で相互に情報をやりとりする車間距離制御によって隊列走行をおこないます。
現時点ではドライバーが運転操作の主体となる自動運転レベル2ですが、将来的にはレベル4の認可取得を目指しています。*12
岐阜県岐阜市では、「自動運転バスがいつも走っているまち」を目指し、公共交通ネットワークにおける自動運転技術の導入を推進しています。
市民や観光客などの利用者の多いJR岐阜駅と岐阜公園及び川原町界隈を結ぶルートで、誰でも気軽に乗車できる自動運転バスの実証事業をおこなっています。(図9)*13

図9:自動運転バスの実証実験
出所)岐阜県岐阜市「持続可能で利便性の高い公共交通ネットワークを目指した自動運転技術の導入事業」p.1
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kinmirai/pdf/1903_gihu_jigyou.pdf
2023年からは全国初となる中心市街地での5年間の継続運行を実施しており、持続可能な公共交通ネットワークの構築を目指しています。*14