地域GXを推進するためには、現状としてさまざまな課題があります。
地方自治体のGXに関する実態調査(エネがえる運営事務局調べ[1.1])によると、地方自治体の85.2%がGXの重要性を意識していると回答しているにも関わらず、実際の取り組みについては37.1%の自治体が「できていない」と回答しています。*6
GX実現に向けて具体的な行動に移せていない理由として、多くの自治体が「GX関連の技術や専門知識が不足しているから」「自治体と企業・金融機関をはじめとする関係機関との連携が進まないから」と回答しています(図3)。*6

図3:GX実現に向けて具体的な取り組みができていない理由
出所)エネがえる「【地方自治体の地域脱炭素への取り組みの現状課題が明らかに】85.2%が「GXの取り組み」の重要性を実感。一方、37.1%が「具体的な行動」に移せていない実態、その原因とは?」
https://www.enegaeru.com/surveyrelease1205
このような背景もあり、地方自治体を支援するため、総務省ではGXや脱炭素を専門とした「GXアドバイザー」を自治体に派遣しています。
この事業では、派遣にかかる費用は地方公共団体金融機構が負担するため、自治体が十分な予算を確保できない場合でも利用可能です。*7
自治体向けのGX支援は、民間企業にも広がっています。
2025年4月には、株式会社メンバーズが全国の自治体のGX推進をサポートする「自治体GXセンター」を開設しました。
「自治体GXセンター」は、内閣府や総務省の制度に基づき専門人材を派遣する組織で、GXリテラシーとデジタルスキルを兼ね備えたGXコンサルタントが自治体に常駐し、プロジェクトの企画から実行までを一貫して支援します。*8
さらに、2025年8月には、政府がデータセンターや脱炭素産業を一つの地域に集約する「GX戦略地域」と呼ばれる新たな制度を創設する方針を決定しました。
この制度では、GX産業立地を以下の3つの類型に分類しています(図4)。*9

図4:「GX産業立地」の類型
出所)内閣府「GXをめぐる情勢と今後の取組について」p.12
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gx_jikkou_kaigi/dai15/siryou1.pdf
「GX戦略地域」制度の創設にあたり、政府はすでに自治体等からの提案募集を開始しており、全都道府県向けの説明会も開催しています。