レベル4の自動運転は、2023年4月1日より施行された改正道路交通法によって解禁されました。
レベル4の自動運転に関する現在の法規制の概要として、以下の各点を解説します。
レベル4の自動運転車の運行(=特定自動運行)に当たっては、運行場所を管轄する公安委員会の許可を受けなければなりません(道路交通法75条の12第1項)。
特定自動運行の許可に関する審査は、車両設備や運行者における体制整備、地域住民の利便性や福祉などの観点から行われます(同法75条の13)。
実際にレベル4の自動運転車を運行する際には、以下の事項などを遵守しなければなりません。
(a)運行計画の遵守
公安委員会の許可を受けた特定自動運行計画に沿い、かつ公安委員会が付した許可条件を遵守して運行しなければなりません(道路交通法75条の18)。
(b)運行業務従事者に対する教育
レベル4による自動運行に従事する者に対して、実施すべき措置を円滑・確実に実施させるための教育を行わなければなりません(同法75条の19第1項)。
(c)特定自動運行主任者の選任・現場措置業務実施者の指定
レベル4による自動運行の管理を行う「特定自動運行主任者」を選任しなければなりません(同条2項)。
また、自動運行車両に特定自動運行主任者が同乗しないときは、現場において必要な措置を行う「措置業務実施者」を指定する必要があります(同条3項)。
(d)特定自動運行主任者による運行管理
特定自動運行主任者は、自動運行車両に乗車するか、または映像・音声の確認装置を車両に備え付けた上で、その管理場所に配置しなければなりません(同法75条の20第1項)。
(e)運行終了措置など
特定自動運行主任者は、自動運行車両に備え付けられた映像・音声の確認装置が正常に作動していないときは、運行終了措置を講じなければなりません(同法75条の21第1項)。
また、レベル4による自動運行が終了した場合において、緊急車両が接近しているときや違法駐車に当たるときなどには、車両の移動などの措置を講じる必要があります(同法75条の22)。
(f)交通事故発生時の措置
レベル4による自動運行車両に関して交通事故が発生した場合には、消防機関への通報、現場措置業務実施者の派遣、警察官に対する報告、危険防止措置の実施、負傷者の救護などを行わなければなりません(同法75条の22)。
レベル4による自動運行車両には運転者が存在しないため、交通事故について運転者の法的責任を問うことはできません。
その一方で、以下の者はレベル4による自動運行車両の交通事故について損害賠償責任を負う可能性があります。
損害賠償責任を負う可能性がある者 |
損害賠償責任の法的根拠 |
特定自動運行主任者 |
不法行為(民法709条) |
現場措置業務実施者 |
不法行為(民法709条) |
自動運行の運営会社 |
使用者責任(民法715条)
運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条)
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事故車両の製造者(自動車メーカー) |
製造物責任(製造物責任法3条) |